#3 廃棄物を燃やさず消滅させる

WEF技術開発株式会社

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企業のSDGsを推進させる商品やテクノロジーに注目したSDGsメディア「サステナブルフロンティア」のインタビュアーを務めております、沖本晴香(安田女子大学現代ビジネス学部 4 年)です。

環境省によると、産業廃棄物で埋め立てるか焼却するしかないものは約912万トン(令和元年度)に上ぼります。産業廃棄物の中には、さまざまな「リサイクルできないもの」が含まれています。脱炭素社会の実現が叫ばれる今でも焼却を続け、減少していく埋立地にゴミを埋め続けているのが現状です。

「燃やす」「埋める」以外の選択肢として、「消滅させる」選択肢があれば世界はどう変化するでしょうか。今回、滋賀県に有機廃棄物を消滅させる特許技術を持つテクノロジー企業を見つけました。WEF技術開発株式会社の代表取締役を務める青山章さんにお話を伺いました。

 

>WEF技術開発株式会社とはどういう会社なのですか?

私が代表を務めるWEF技術開発株式会社は、私が代表を務めていた、滋賀県大津市に本社を置く株式会社アオヤマエコシステムの水処理・廃棄物リサイクル事業部が分離独立して生まれた企業です。

「Water」「Energy」「Food」の頭文字をとった社名で、水、エネルギー、食糧を地産地消できる技術の開発に力を入れています。水処理設備設計施工・メンテナンス、河川・池浄化再生、脱水余剰汚泥削減・リサイクル、有機廃棄物(生ゴミ・水草・トウモロコシ茎等農業残渣)減容処理・リサイクル、メタン処理・発電設計施工、農業残渣のバイオエタノールリサイクルを事業として行っています。

>有機廃棄物を完全に消滅させる技術があると聞きました。一体どういうものですか?

私たちが保有している特許技術のことですね。有機廃棄物を消滅させる特許技術を活かして、固形有機物処理装置「ZEROSONIC(ゼロソニック)」を2021年5月に商品としてリリースしました。

ZEROSONICのキーワードは「活性酸素」です。人間の細胞を傷つけるという悪いイメージがある活性酸素ですが、その働きを逆に活かしました。ZEROSONICには、他社の製品にはない、空気中の酸素から活性酸素を作る活性酸素発生装置が取り付けられています。非常に強固な炭素・水素の結合を中心に成り立っている有機物を、活性酸素を使ってその結合を切断して消滅させることが可能です。

固体有機物であれば何でも処理できます。プラスチック、食品残渣がついたビニール類、ペットボトル、ポリタンク類、紙オムツ、感染性医療廃棄物、木材など、金属以外の有機物を消滅させます。

有機物のみを消滅させるため、金属が混ざっている有機物を投入した場合は金属のみが残ります。投入された有機物は処理後、1/300~1/500のセラミック(非金属元素の組み合わせ)になります。処理容量は1㎥(ヨミ=リューべ、1m×1m×1mの立方体を指し、容量は1000ℓ)のものと3㎥のものがあります。

とても簡単に操作できます。二重扉の上に投入物を置き、蓋を閉めると投入物が装置内部に落ちていきます。すべてコンピューターで管理され、投入後は有機廃棄物が消滅するのを待つだけです。物によって異なりますが、3~6時間以内で消滅します。

リサイクルが高コストな汚れたペットボトルやプラスチック、リサイクルが難しい紙おむつや医療廃棄物を消滅させられるため、焼却や埋め立てに代わるテクノロジーとして今注目されています。焼却物、焼却量の試算が必要ですが、3~5年で設備投資が回収できるような商品設計になっています。

 

>ZEROSONICの仕組みをもう少し詳しく聞かせてもらえますか?

活性酸素が働くことで有機物を消滅させられるのがZEROSONICです。従来の焼却方法においても活性酸素が働いています。しかし、高温で焼却すると活性酸素がより活発に働くため、より早く処理をすることができますが、CO2やダイオキシン等の物質が発生してしまいます。一方ZEROSONICは従来の焼却に比べると低い温度(300℃前後)で処理するため、CO2排出量とエネルギー使用量が圧倒的に少なく、ダイオキシンが発生しないのが特徴です。

 

>SDGsの観点から、ZEROSONICが優れている点を教えてもらえますか?

やはり、従来の焼却に比べ圧倒的にCO2排出量とエネルギー使用量が少ない点です。脱炭素社会の実現に向けた解決策の一つになり得るでしょう。また、有機廃棄物を埋め立てる必要もないので、埋立地の確保問題や土壌汚染の問題にも貢献できる、環境負荷の少ない処理の方法だと言えるでしょう。

循環型社会への転換が重要視され、廃棄をなくし、リサイクルすることで原材料の生産を減らし、環境負荷を抑える動きが活発になっています。一方で、現状ではすべてのものを完全にリサイクルするには技術面や経済面で課題が残ります。一つでも選択肢を増やし、少しでも環境負荷の少ない選択をすることが重要です。ZEROSONICの技術は廃棄物処理の選択肢を増やします。持続可能な手段として産業界に大きく貢献できるはずです。

実際に、ZEROSONICがさまざまな業界で活用され始めています。大手自動車メーカーや、食品スーパーの加工工場などで導入実績があります。自動車メーカーでは、生産の過程で発生する端材であるウレタンや炭素繊維樹脂などの焼却できない素材の処理に役立ています。

多くの業界で、製造過程で発生する処分が難しい端材の廃棄物が排出されます。それを持続可能な方法で適切に処理することは、SDGsの目標12番の「つくる責任つかう責任」にあたり、そこからZEROSONICのニーズが高まっています。

 

>なるほど。SDGs時代にマッチする商品ですが、活性酸素について良いイメージを持っていない人もいるのでしょうか?

少なからずいらっしゃると思います。厚労省でも、活性酸素は、体内の代謝過程において様々な成分と反応し、過剰になると細胞傷害をもたらすと言及されています。しかし、これを逆に捉えると、有機物の炭素の結合を切断し消滅させることができるのが活性酸素です。

ZEROSONICでは、装置の中で活性酸素を使い有機物と反応させます。装置内で反応後に発生するのは無害な水と処理物に含まれていたCO2だけで、これらを装置外に排出しても、人体に悪影響が出ることも環境に大きな負荷をかけることもありません。

>ZEROSONICの今後の展望について聞かせてもらえますか?

実は最近、面白いものを廃棄物としてテストする機会がありました。それは太陽光パネルです。2030年以降、設置から20年が経ち寿命を迎える太陽光パネルが大量に廃棄されると言われています。国も2022年7月1日から事業者に廃棄する費用を確保する積立金を義務付けます。今最も注目を浴びている廃棄物が太陽光パネルです。

私たちが受け取った太陽光発電モジュールには、有機物がおよそ1/3、その他は銀やアルミニウムなどの金属です。その有機物は3時間で消滅、金属のみを回収することに成功しました。今後太陽光パネルの廃棄が問題になる未来が予測されている中、ZEROSONICはその処理に大きく貢献できる可能性を秘めていると言えそうです。

 

>ZEROSONICが秘める可能性は大きいですね。ZEROSONIC以外に青山さんが開発した技術はあるんですか?

海洋ゴミを処理する装置を開発しています。海洋ゴミはプラスチックやペットボトルから木材までさまざまな廃棄物が混合しているため、リサイクルが難しいんです。回収後の廃棄が課題になっています。ZEROSONICと同じく、活性酸素を海洋ゴミに活用した技術です。

α-Gaia(アルファ-ガイア)という水草を短時間でたい肥にできる装置なんですが、今年から事業化の予定です。琵琶湖では、ひと夏で2万トンもの水草が繁殖します。滋賀県が5000~6000トンの水草を刈り取っていますが、これをたい肥にするには現状の自然発酵では3年かかっています。α-Gaiaは水草をおよそ10日でたい肥にします。

この技術を使えば、世界中で繁殖が問題になっているホテイアオイを短時間でたい肥にすることが可能で、ホテイアオイによる環境悪化や、水減少化等を阻止するだけでなく、効果的なたい肥が食料を増産・供給します。処理能力が向上するだけでなく、水草の保管場所確保の問題も解決します。琵琶湖で成功事例を作り、全国、出来れば世界に広めたいと思います。

>青山社長の描く未来を教えてもらい、最後に一言お願いします。

私が2006年に一橋大学からも名誉博士号を授与されている環境活動家レスター・R・ブラウン氏の著書を多く読んでいます。彼が言うには、人類は目の前にある課題を対処するが、将来の課題は放置しておくと。「何とかしなければならない」と思った頃には、時すでに遅しでしょう。私たちのテクノロジーが未来に少しでも役立てばと考え、日々事業を行っています。

今回はZEROSONICの導入に関心を頂いた方に、先着2社に3㎥タイプのZEROSONICを10%オフで提供します。詳しくはサステナブルフロンティアまでお問い合わせください。α-Gaiaに関するお問い合わせも受け付けております。

年々、廃棄物の処分費は高騰化しています。環境を配慮し、廃棄費用もコントールされたい企業や自治体のサポートをしてまいります。

WEF技術開発株式会社

代表取締役 青山 章

コーポレートサイト(https://aoyama-wefit.com

1948年生まれ。29歳で初めて起業。起業当初から循環型社会の重要性を予見。JETRO(日本貿易振興機構)などを通じて海外展開もしてきた。2016年にWEF技術株式会社を設立。脱炭素社会への取り組みを紹介する番組に取り上げられるなど、持続可能な社会を実現するための技術を開発している。関西や海外の大学とも取引があり、ZEROSONICをはじめ、多くの特許技術を持っている。

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