#6 SDGsの数値化で最適な未来を創る

サステナブル・ラボ株式会社

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企業のSDGs達成を推進させる商品やテクノロジーに注目したSDGsメディア「サステナブルフロンティア」のインタビュアー、奥村真尋(専修大学経済学部3年)です。

大手、中小を問わず、いまや多くの企業が注視し取り組むSDGs。しかし、財務諸表のように明示的に経営状態を表す数字には、SDGsに直結するものは反映されづらいこともあり、イメージ先行でその良し悪しを判断することはありませんか?

SDGsでは17のゴールが掲げられていますが、そのゴールの下に169のターゲットが設定されています。ターゲットの多くには目指すべき具体的な数値が決められています。実はSDGsは明確な数字を追求する性質のものなのです。SDGsへの取り組みも達成度や貢献度が数値で評価される。これが本来のあるべき姿でしょう。

「でも、各社のSDGsへの取り組みってどうすれば数値化(スコアリング)できるの?」。私も含め、多くの市民が抱くであろうこの疑問。

この疑問に答えを出し、社会に変革を起こしているスタートアップ企業があります。それが2019年に創業したサステナブル・ラボ株式会社です。同社が展開しているのはSDGsデータサービス「TERRAST(テラスト)」β版。TERRASTβが起こそうとしているパラダイムシフト(定説をくつがえすこと)とは一体何なのか?代表取締役CEOの平瀬錬司さんに迫りました。

 

>私の周りでは「SDGsって良いことなんだろうけど、よくわからない」と、ぼんやり捉えている人たちは多いです。TERRASTβとはどのようなサービスですか?

TERRASTβは、toB向けのSDGs/ESG分析プラットフォームです。各企業のSDGsの取り組みを誰もが納得して評価できるように、1社あたり700〜800項目程度のSDGs/ESGに関するデータを集め、AIによって解析し、数字で見える化しています。現在は、国内外の金融機関や上場企業などに提供しています。

TERRASTβの解析項目は、事業におけるCO2排出量はもちろんですが、再生可能エネルギー使用率や、エネルギー消費量、女性従業員・役員の比率、労災事故検出、残業、従業員満足度、労働分配率、廃棄物排出量、水消費量、研究開発費、取締役の任期、取締役の出席率など、いわゆる非財務情報と呼ばれるもので大半が構成されています。世の中に存在する多種多様な情報にアクセスし、それらビッグデータを元にデータを解析。いわゆる環境貢献度、社会貢献度のようなものをテーマ別に数字で見える化しています。

自社を時系列で俯瞰したり、同業他社と横比較できたりもします。どの企業がどの立ち位置にいるか。なんとなくではなく、はっきりと誰もが分かるようになっています。また、それら非財務情報が企業の将来業績や株価、社会インパクトにどうつながるのかを予測分析する機能も間もなく実装予定です。

当たり前ですが、私達はひとりひとりが違う人間です。なので、「良い企業」の定義も人によって異なりますよね。短期的に環境課題を解決するのが良い企業だという人もいれば、長期的に社会貢献を継続している企業が良い企業だという人もいます。定義に違いがあることが当たり前なのに、これまでは、それを測る使い勝手の良いモノサシが無く、「じゃあ、どの企業が私にとっての『良い企業』なの?」という迷子状態に陥りがちでした。TERRASTβによって、そのモノサシあるいは地図のようなものが生まれたと考えて頂ければ分かりやすいかも知れません。

サービス名の「TERRAST(テラスト)」は、照らす人(テラスヒト)が由来となっています。TERRASTβで人や企業を照らしたいということです。良い社会の実現のために良い企業を照らす。照らすことで社会や環境に貢献する企業が報われ、企業の価値創造や社会参画がさらに進んでいく。TERRASTβを普及させることで、投資家がSDGs/ESGを投資の判断材料にしやすくなる。そうなれば、全ての上場企業が社会・環境貢献を経営に組み込みやすくなる。その流れは非上場の中堅・中小企業にも及びます。消費者も商品やサービスを選ぶ際に、SDGs/ESGを判断材料の1つにすることが当たり前になる。TERRASTβによって、社会の在り方、「良い企業とは何か」の判断の在り方そのものを新しいものにするパラダイムシフトを起こしたいと考えています。

TERRASTβには、既に上場企業を中心として2000社以上のデータがあります。今後は、データ範囲を非上場企業や海外企業まで順次、拡大していく予定です。

 

>社会的インパクトが非常に強い事業ですね。どういう仕組みでSDGs/ESGのスコアリングが可能なんでしょうか?

客観的で正確性のあるものにするため、複数の方法を組み合わせています。大きく特徴的なものは3つあります。

1つ目はロボットによる情報収集です。企業が開示している情報をクロールしています。開示データには難解なものもありますが、重要な数字や情報をできるだけ隅々まで収集します。

2つ目はいわゆるオープンオルタナティブデータ(公開されている第三者情報)の収集です。株式市場情報や官公庁統計、地理情報、また、各メディアの記事やソーシャルネットワークからも情報収集します。AIの活用によって、企業の社会的評価から不祥事に至るまで多様な情報を察知します。数字だけでなく言語情報も解析し、スコアリングの判断要素に組み込むことが可能です。

3つ目は既存のデータホルダー・データベンダーとの連携です。必要に応じて、各種データホルダーや専門のデータベンダーと連携し、データ範囲の拡充を行なっています。

企業に直接ヒアリングすることもありますが、基本的にはこの3つの方法をベースに、経済物理学・サステナビリティ学・金融工学などの方法論を組み合わせて多数のスコアリング手法を開発しています。このように、学際的に複数の領域にまたがる専門家集団を高いレベルで有しているのが私たちの強みです。

 

>すごい仕組みですね。スコアリングの信憑性はどこまであるんですか?

信憑性は私たちが最も重要視しているものです。先述したデータ収集方法で客観性や正確性を担保しつつ、サステナビリティ、金融、データサイエンスそれぞれの領域において、アジアでもトップクラスの専門家に事業に携わっていただいており、「世界で戦えるチーム」を目指しています。そのうえで、官公庁の研究プロジェクト、京都大学研究室との共同研究などを通し、技術と知見を磨き続けております。また、弊社は評価会社ではなく分析プラットフォーマーですので、生データやスコアリングの方法論はガラス張りにしています。

>現在、どのような企業が利用しているんでしょうか?どのような点が評価され利用されているのでしょうか?

利用企業は3種類に分かれます。①金融ファーム(証券会社、投資銀行、アセットマネジメントなど)、②プロファーム(コンサルティングファーム、シンクタンク、監査法人、銀行など)、③事業法人(商社、メーカーなど)です。

特に現在は、ESG投資の巨大な流れの中にいる①の企業様、また事業法人にとって医師のような立場である②の企業様からの需要が非常に高いです。②が医師としてさらなる価値創造をするためには、聴診器や体重計など、健康診断ツールがあったほうが良いのは議論の余地がないと思います。TERRASTβは、SDGs/ESGの世界における「健康診断ツール」の役割を果たしているとお伝えすれば、わかりやすいでしょうか。

評価されている点は、対象企業または企業群のSDGs/ESG情報を素早くタイムリーに、かつ網羅的に入手でき、また、それらを複数のロジックであらゆる角度から簡単に整理できることで、「この企業のSDGs/ESGはいま、どうなっているのか」「なぜ、そうなっているのか」「今後どうなるのか」をスピーディーに理解でき、また説明可能になるということです。「なんとなく」を確信に変え、「気づいていなかった」を発見することで、投融資や事業施策の費用対効果を計算し、意思決定のための根拠となる情報を手に入れられること、またそれらの意思決定の説明能力向上が利用企業の拡大につながっていると考えております。

 

>サステナブル・ラボのような会社は他にもあるんでしょうか?

グローバル全体で言えば、近しい企業はいくつかあります。ですが、少なくともアジア圏域ではいまのところ我々が最先端を走っているのではないかと自負しています。

この事業領域は、複数の畑の専門家の力を高いレベルで結晶化させる必要があります。また、かなり新しい事業領域でもあるため、そういった専門家はまだまだ少ないのが現状です。そういったなかで、国内外の専門家との縁に大変恵まれ、足元では欧米含め7カ国のメンバー、26名がジョインしています。

世界で戦えるチームを目指しており、原則フルリモート、スーパーフレックスです。事業が急拡大しており、世界中から志の高い優秀な人材に集まってきてもらえるような体制を整えています。

 

>なぜ、TERRASTβを開発しようと思ったのですか?事業への想いを聞かせてもらえませんか?

これまでの社会では、短期の経済性が過剰に重視され、企業は足元の収益を求めていれば良かったのですが、地球環境問題、富の偏在、ジェンダー不平等など、環境・社会の歪みがかなり広がってしまったのが現在です。これまでも、人々はサステナビリティの重要性を認知していましたが、実際に行動しなければならない時が訪れていると気づき始めたのです。「未来のために、今変わる」ため、人々の意識と行動変容につながる、物ごとに対して厳しく臨む北風ではなく太陽のような存在が必要だと考え、TERRASTβの開発を始めました。

世の中を持続可能な方向へ変えるためには、環境・社会貢献を経済活動に組み込むことが必要です。「社会や環境に良いことをしよう」と言えば、人の心を打つかもしれないけど、想いだけでは、ビジネスの世界を動かすことは難しい。想いと数字、論語と算盤が揃ったときに、はじめてこの社会は本当の意味で変わっていくのだと考えています。

私たちの目指す世界は、ひとりひとりの価値観で、それぞれが良いと思える企業を、専門的な知識がなくとも当たり前に「ただしく」選べる社会です。それぞれの人や企業が納得感と誇りを持ちつつ「最適」な選択をできたら、社会全体も新しい最適解に近づき、それは今よりもさらに良い社会だと信じています。

 

>TERRASTβの強い想いを知りました。今後の展望をお聞きできますか?

国内に留まらず、グローバルの金融ファーム、プロファーム向けの展開を準備しています。また、事業会社向けもご要望が非常に多いので、前向きに検討しています。ゆくゆくはtoC(個人の生活者向け)向けに無償版を提供していきたいと考えています。

>最後に一言お願いします

特定の投資家や企業だけがSDGs/ESGについて考えるのではなく、生活者を含めた社会全体がSDGs/ESGについて当たり前に理解し、「ただしく」選択できる社会を実現していきます。「良い企業」とは何か?この問いを、客観的に合理的に、そして想いを持って、それぞれが考えるというパラダイムシフトの当事者として、今後も成長を続けていく使命を感じています。事業は好調に拡大中で、10近くの職種で採用活動をしています。今よりもさらに良い社会を、仲間と共に創り上げたいと思います。

今回、新しく立ち上がったSDGsメディア「サステナブルフロンティア」様を応援させていただきたく、弊社プロダクト「TERRAST β」の導入企業様に2社限定で特典をご用意しました。詳しくは、サステナブルフロンティア様までお問い合わせくださいませ。(※2022年6月1日までに問い合わせた企業様が対象です)

サステナブル・ラボ株式会社

代表取締役CEO 平瀬 錬司

コーポレートサイト(https://suslab.net/

大阪大学理学部卒業。在学中から環境、農業、福祉などサステナビリティ領域のベンチャービジネスに環境エンジニアとして携わる。これらの領域において2社のバイアウト(事業売却)を経験。2019年に同社を立ち上げ、SDGs×ビッグデータを軸に、自治体や企業の環境・社会貢献度をAIで数値化した非財務データバンク「TERRASTβ」等を開発。真に"良い企業"が照らされる社会の創成を目指す。京都大学ESG研究会講師。非財務ビッグデータに関する執筆・講演多数。

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