#4 食品ロスを生む商習慣を変える

ICS-net株式会社

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企業のSDGsを推進させる商品やテクノロジーに注目したSDGsメディア「サステナブルフロンティア」のインタビュアー、沖本晴香(安田女子大学現代ビジネス学部4年)です。

食品業界で注目のオンラインサービスがあると耳にしました。食品メーカーや食品工場が利用する食品原材料のマッチングプラットフォーム「シェアシマ」です。現在、会員企業は1,800社以上(2022年1月現在)。コロナ禍でオフラインでのマッチングイベントが減少した今、取引実績を徐々に伸ばしています。

「美味しい世界の食材を無駄なく届けたい」と、食品ロス削減を大きく掲げるシェアシマですが、食品を買いたい会員数がおよそ9割。売り手会員のブルーオーシャンだといいます。

シェアシマは「食品ロスを生む食品業界の商習慣を根こそぎ変える」と言います。食品ロスは日本だけで年間600万トン近くに上ります。どれほどの社会的インパクトのある事業なのでしょうか。

シェアシマを運営するICS‐net株式会社代表取締役の小池祥悟さんにお話を伺いました。

>シェアシマとはどのようなサービスなんでしょうか?

私は長野県の食品メーカーで会社員として約20年間働いていました。営業や商品開発など、様々な部署に携わりましたが、その都度感じた「あったらいいのに」を形にした食品原材料マッチングサービスがシェアシマです。

食品の商品開発って、原材料を見つけるだけでも相当苦労するんです。「買いたい」って思っているのに、どこで取り扱っているのかも分からない。「すぐそこにお客がいるよ!見つけてよ!」と思っていました。逆に言うと、売り手はすぐにお客様を見つけられる状態なんですよ。

シェアシマは「ほしい」を可視化して、それを適材適所で供給します。食品原材料ですから、供給せずに放置しておくと食べられなくなってしまう。それをほしい人に買ってもらう。食品ロス削減にも貢献できて、買い手・売り手・世間(社会)の全てが良くなる三方よしの仕組みなのに、それが今まで無かったんです。それがシェアシマ誕生のきっかけです。

 

食品メーカーを退職後、2017年にICS‐netを創業しました。まずは食品の輸入販売から始め、2019年にシェアシマをリリースしました。シェアシマは日経新聞に取り上げられたり、経済雑誌のビジネスコンテストでも大賞を頂いて、今では1800社を超える企業に会員になって頂いています。会員数は今も日に日に増えています。

特徴は買い手の多さです。会員には、買い手になりたいのか、売り手になりたいのか選んで頂くのですが、約9割の会員が買い手希望です。売り手会員はまさにブルーオーシャンですね。

 

>なるほど。とても便利なサービスですね。なぜ、これまでにシェアシマ以外に参入する事業者がいなかったのでしょうか?

はっきりと申し上げると、食品業界は商習慣が驚くほどに旧式なんです。インターネットが普及してから数十年が経つこの時代でも、未だ商品情報を掲載していないのは当たり前。どんなものが仕入れられるのか、情報を得られるのは主に食品展示会です。「ネットで見た商品のサンプル送ってほしい」。こんなことすら言える相手も見つからず、全国に出張して商談しないといけない。

これまでの付き合いがある地元の卸業者や取引先にしか情報を提供しない。他の会社に売ったことが得意先にばれてしまってはいけない。みんなが今までの当たり前に従っているんですね。この結果、生まれるのが食品ロスです。日本中探せば、売り先なんていくらでもあるのに廃棄してしまう。

まさに「ここが変だよ、食品業界」ですよね。

日本の食品ロスは年間およそ600万トン。そのうち食品製造と卸業者が出すのは20%以上で年間100万トンを超えると言われています。これはいくら市民一人ひとりが意識してもどうにもできない領域です。だから、食品業界の人たちが変わらないといけない。食品ロスを生む食品業界の商習慣を、根こそぎ変えたいと思っています。

 

>確かにそうですね。食品ロスの観点からは納得いくのですが、食品メーカーや原材料の販売業者が商習慣を変えることは容易ではない気もするのですが、その点はどのようにお考えですか?

良い質問ですね。シェアシマの仕組みを聞いた人は、食品業界の人間もみんな「これはいい!」ってなります。でも、実際に売ろうとする企業がとても少ない。既存ルートではない売り方に不安を持っているからです。売り手にとっても、買い手にとっても、「シェアシマが取り扱うものは間違いない」というブランド作りが非常に重要だと考えています。

しかし、ここ数年で大きく食品業界も変わると観ています。SDGsの気運の高まりにより、食品ロスへの消費者の意識が大きく変わっています。いかに食品ロスを出さない企業か。消費者が企業を選定する基準になっている潮目を感じます。その潮目を食品業界のほとんどの人間が気づいている。2、3年後には一気にマッチングサービスの取引が当たり前になってくると考えています。

>シェアシマは具体的にどのような仕組みになっていますか?

 シェアシマの仕組みですが、オンライン上の展示会が毎日24時間つねに開催されているとイメージしてください。会員登録は無料です。売り手会員は、写真や賞味期限、発注に必要な日数などの情報を入力し、公開されます。

お試しの方も多いので、2品までは無料のライトプラン。それ以上になるとプロプランとプレミアムプランがあり、それぞれ使える機能も拡充していくイメージです。

 

コロナ禍でオフラインの食品業界イベントが延期になったり中止になっています。シェアシマではデスクの前に座ればオンラインで商談できるので、会員数が急激に増えています。出品者の数と質が上がれば、間違いなくサイト内が活性化していくと手ごたえを感じています。

全国的に有名ではなくとも実力のある小さな食品メーカーは沢山ありますので、それを全国に発信していくように取り組んでいます。シェアシマを、ユーザーのニーズに対して敏感に対応できるサービスにするため様々な企画を検討し、良いものは積極的に実施していきたいと考えています。

 

>シェアシマの社会的意義やサービス内容がよく分かりました。最後に小池さんから一言お願いします。

 会社員の最後の数年間ですが、海外に原材料の仕入れに頻繫に行っていました。衝撃的でしたが、いくつかの国では日本に売るくらいなら中国やEUに販売すると言われました。日本独特の商習慣で要求が厳しいからと言うのです。食料は限りある資源。だからこそ、私のシェアシマへの想いが強いのです。食料が常にそばにあるものではなくなってきています。今、何とかせねばなりません。

食料を有効に活用しなければいけない時代を迎え、そしてその先に、世界全体で最適な食品調達をしなければいけない時代が控えているのではないでしょうか。豊かな食の未来のために、私たち1社だけではなく、食に携わる人々すべてが次のアクションを起こさなければなりません。持続可能な食を実現するためにシェアシマを発展させてまいりますのでご期待ください。

今回、シェアシマの出品を検討したいという方々がいらしたら、サステナブルフロンティアまでお問い合わせください。2022年6月末までプロプランとプレミアムプランを導入された方は最初の2ヶ月間の月額利用料を半額でご提供します。まずは無料のライトプランから始め、手応えを感じたらプロプランやプレミアムプランをご検討されるのも良いと思います。

ICS-net株式会社

代表取締役 小池 祥悟(こいけ・しょうご)

サービスサイト(https://shareshima.com/

1975年生まれ。長野県出身。1998年北海道酪農学園大学卒業後、マルコメ株式会社入社。製造、営業、商品企画、商品開発など、さまざまな部署を経験した後、退職。2017年8月にICS-net株式会社を創業する。食品原材料売買のマッチングプラットフォーム「シェアシマ」を2019年に立ち上げ、今に至る。株式会社経済界主催のベンチャービジネスコンテスト「金の卵発掘プロジェクト2020」にてグランプリを受賞。

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